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M ビラ 癒しの家

長野県 2019.07
協力/施工 施工:株式会社新津組
構造設計・監理:エヌ・シー・エヌ
設備設計・監理:テーテンス事務所
電気設備:千曲電業
機械設備:光設備工業
撮影:株式会社めくるめく
規模 地下RC造1階、地上木造(SE構法)1階 
敷地面積:2,486.58㎡
建築面積:247.84㎡
延床面積:308.65㎡

「明るく落ち着ける色調の家」と「焚き火ができる東屋」施主の要望はシンプルでした。シンプルな要望にどう応えるか、シンプルな要望ほど私たちのクリエイティビティが試されると感じます。温故知新、新しさは古きよきものの蓄積から生まれるということを心に置きながら、デザインを進めました。長年清里の別荘で大切に使われていたオーダーメード家具の色を主カラーとして、家具や建具も木練り付け合板をダークブラウンに染色塗装しました。その結果、あたたかく落ち着いたインテリア空間となり、新旧が融合する一体感のある雰囲気を醸し出すことができました。
計画地は、軽井沢の中でも、道を挟み両サイドに別荘が立ち並ぶ地域とも幹線道路とも離れた、緑豊かな自然公園内にありました。いわゆる軽井沢の別荘地イメージとは異なった、遠くに山並みが見晴らせる高台、なだらかな南斜面という、こんな場所がまだあったのかと思える非常に恵まれた立地です。敷地に立った鈴木エドワードと難波が即一致したのは、遠い山並みを一望できる家にしたいということでした。軽井沢でいくつもの作品を手掛けていても、こういう展望を持てる場所は案外に少なく、この場所を選択し入手できた施主が、四季そして一日の山並みや光の変化をずっとたのしめることは2人の共通のテーマでした。軽井沢地域は、境界線からの距離や建物形態、色彩、軒の出とうとう、多岐に渡る制約があります。それらすべてを考慮しながら、その制約のなか、建物は敷地の北側に寄せて計画することとしました。その結果、南側のテラスに面して全ての部屋を配置させることができ、180℃開かれたすばらしい眺望が実現しました。また、各室からリビングに向かう直線的でシンプルな動線を確保するとともに何にも遮られず遠い山並みが目に入り、機能とデザインを両立させた好例です。動線をシンプルにすることは、実は暮らしやすさの大きな要素とESAでは考えています。外壁は外断熱工法を採用しました。庇を張り出し、夏の日差しを避け、冬は陽が奥まで入るように日照調整を図り、Low-E複層ガラスの採用で窓からの熱負荷の低減を実現しています。夏季の軽井沢の最大の魅力は、心地よい自然の涼風、これを最大限とりこめるよう開口部を設けています。冬季は、LDKではあたたかさとリラクゼーションの象徴的な薪ストーブと共にエアスイングファンを設置することで大空間でも効率的なあたたかな環境を提供しつつ省エネにも貢献しています。各居室は主には暖房を考え、ヒートポンプエアコンを採用。また、施主の強い思いでつくった庭の東屋は、今や希少になった職人による茅葺屋根、これも施主のこだわりです。東屋中央には囲炉裏、ぱちぱち火が爆ぜる音を聞きながら焚き火を囲み人々が集い、語り合うシーンが見えるようです。
施主ファミリーから「癒しの家」ですとおっしゃっていただきました。鈴木エドワードが完成まで見届けた最後の作品であり、私たちESAの誇りともなる作品になったことに深い感謝です。

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