ST MARY'S INTERNATIONAL SCHOOL

セントメリーズ・インターナショナル・スクール 校舎棟

東京都世田谷区 2009.03

2009年竣工のセント・メリーズ・インターナショナル・スクール建て替え計画がスタートしたのは2002年。1954年に港区泉岳寺で小さな洋館で開校して以来、日本のインターナショナルスクールとして歴史と伝統を誇る男子校であり、鈴木エドワードの出身校でもあります。
1972年に現在地世田谷区瀬田に移り、当時の旧校舎設計は槇総合計画事務所によるものでした。この場所に馴染んだ落ち着いた佇まいではありましたが、老朽化に伴い耐震性能の低下等々、建て替えの必要性が大きく膨らんだことから、本校卒業生の鈴木エドワードそして丹下事務所先輩でもあり、8歳から寮で共に過ごした 親友 高俊民 に設計の依頼をいただきました。
2002年当時は、同校敷地内に事務所を構え、週末はグラウンドで卒業生仲間とバスケットボール、平日にはプールで水泳をしていたほど母校との距離も愛も強い鈴木、喜びと同時に、生徒たちがのびのびと学び、遊び、語りあい一生の友をつくるような学校づくりをしたいと設計をスタートさせました。学校からの提示条件は、「全ての環境において既存のものよりも向上させた内容」。当初、私たちが参加し合同で作成した建築プログラムを踏襲すること。また、生徒数の3割増を想定し安全・健康を重視すること。さらに、最も大切なことは、この先四半世紀・半世紀のプログラムの変化にも対応できるフレキシビリティーを踏まえた設計をすることでした。
北側敷地に校舎棟・管理棟、南側敷地にはプール棟・体育館・多目的ホール・グラウンドを配置し、生徒の安全性と学校のセキュリティを考慮し 「セントメリーズ・スマイル通り」と称する区道をまたいで 3階で路上通路を設けることで北キャンパスと南キャンパスを結びました。校舎棟では南北に配置したアトリウムを主軸とし、そこから枝分かれする形で廊下と中庭を配し、そこにそれぞれの教室が繋がると同時に教室群がさらに中庭を構成することで、全ての部屋に心地よい光と風を取り込め、また生徒たちの動線がすっきりと整理されて移動しやすいという結果をもたらしました。ロングスパンを要するプール棟、体育館棟では、上階にカフェ・キッチン・特別教室などの機能を配置し、同様に全ての部屋に快適な自然環境を取り込めるようにしていますが、上階に荷重となる室を配しているため、この2棟においてはプレストレストコンクリートのポストテンション方式を採用しました。また、閑静な周辺環境を壊すことがないよう、キャンパス周辺の住宅の前は極力低層としました。建て替え工事期間中はもちろん学校は継続しており、限られた広さと工期の制限の中で新築・引越・既存解体を繰りかえしながら、運営に影響を及ばさないように最大限の配慮をしました。工事を3年間、3工期に分け、最終工程の段階では生徒たちが、先行して完成した新校舎の中を、のびのび走り回る姿を眺めながらの監理、その喜びに満ちた笑顔は全ての困難を忘れさせてくれる、私たちへの何よりの贈り物でした。私たちが卒業後40年を経て、デザインを通してこれからのセント・メリーズの創出に関わり、すこしでも貢献できたことは大変光栄であり、何よりもの喜びでもありました。完成後、生徒たちはもちろん、保護者の皆さん、教師、学校スタッフなどなど数々の皆さんから気持ち良くて快適な校舎をありがとう、こんな学校にいられて幸せ・・というたくさんの感謝の言葉をもらい続けていることは望外の喜びです。この機会を与えて下さった学校の先生方、またこのプロジェクトの実現に向かって協力して下さったすべての方々に深い感謝をさせていただきます。

鈴木エドワード

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