住民から建物存続を求めて保存運動まで起きた山下池田山ハウジングは、相続のため建替えを余儀なくされ、オーナーからは規模を大きくした集合住宅の依頼をいただきました。3階建て、100㎡超え14戸全戸にリビングダイニングに面した3m角広さのテラスを設けました。集合住宅ではよく見られるテラスの空調室外機を断固排し、すべて屋上へ。テラスは物置ではない、ましてや空調機設置場所ではなく、住み手がしあわせを感じる場であるという鈴木の主張です。
山下池田山ハウジングへのオマージュ・デザインの継承性として、同型の黒い暖炉を設置。美しいものは時代を経ても美しいという好例です。全戸への光と通風はESAとして最も大切にしているベース、分譲住宅であり、依頼主の終の棲家となることからも、モダンでありながら、あたたかみのある空間を目指しました。サッシの枠を黒で統一し、外観も直線的で無駄なものをそぎ落としたデザインにしました。
2020年、大規模修繕工事に監修として参加し竣工後も長くお付き合いをさせていだいています。ESAでは、このように、同じ施主から複数回依頼を受けることも多く、親子二代に渡ってそれぞれの自邸を設計させていただいたりと長きにわたるおつきあいの多さがESAを特徴づけているように思います。