協力/施工 | 施工:株式会社軽井沢建設 |
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規模 | 木造1階建 敷地面積:1,339.57㎡ 延床面積:251.06㎡ |
掲載 | 1986.11ボーネン7秋号 1986.4ja 1985.10環境デザインベストセレクション 1985.夏 住宅特集No.3 |
比較的広い敷地の別荘が並ぶ旧軽井沢の一等地。5人家族がくつろぐ別荘としてのご依頼でした。3人のお子さんがまだ幼い時で、施主の一番の要望は「子供を中心に」ということ。そして、いくつかの提案プランの中から、選ばれたのは最も遊び心を溢れさせたものでした。なんと3人のお子さんたちの「スーパーマンみたいにかっこいい」という選択、総意だったと聞きました。こども心をずっと持ち続けた鈴木のいいところが全部出ていて、36年たった今でも斬新で伸びやかなデザイン性が突出しています。当時も現在も、軽井沢の別荘建築として他に類を見ない独自性をもっていて、その後、ESAの軽井沢での別荘建築依頼が今日に至るまで非常に多いことにもつながっています。
3つの異なる半径を持つ円とそれらを分割する基準モジュールによって構成されています。有機的な曲線と直線を組み合わせたこの建物は、森の中に舞い降り、とけこんだ「スペースーシップ」のようです。
軽井沢という土地柄もあって非常に工法的に苦労した建物です。RCでやれば多分一番簡単だったのだと思いますが、当時、2×4も地元の業者さんは慣れてない。ということで最終的には木造在来工法でこのような円を描きました。一生懸命図面を描いても模型をつくってもなかなかディテールが理解されず掴めない、結局工場で一部分、このS字のπを原寸模型でつくり、ディテールを把握してもらい現場に入ってつくりあげました。最大の難点は壁面の曲線と屋根のフォルムとの整合性をいかに構築し、正確なフォルムを立体化させるかにありました。架構体を20畳の原寸型材の上に実際に1スパンずつ構築し、納まりを補正し、調整した後に本建方を行いました。直線材としての木の扱い、その材質が持つ特徴を最大限に生かし、その上で職人の丁寧な手作業で実現できました。まさに匠の技とデザイン性の両立でした。