yamashita-ikedayama-housing

山下池田山ハウジング

東京都品川区 1981.07
協力/施工 施工:古河林業株式会社
規模 敷地面積:1,163.63㎡
延床面積:855.51㎡
構造・規模:木造2階建
受賞 1983年甍賞(金賞)
1983年甍賞(通算大臣賞)
掲載 1985.10環境デザインベストセレクション
1984.2どりーむ234
1983.12ハウス&ホーム
1983.6日経アーキテクチュア
1983.3日経アーキテクチュア(第2回甍賞)
1982.5建築東京
1982.2ジャパン・インテリア・デザイン

東京・五反田の池田山という閑静な住宅街、真四角な350坪ほどの敷地に適した賃貸住宅設計の依頼でした。当時、東京には日本に進出する外国企業社員ないしは富裕層向け良質な住宅が絶対的に不足していました。外国人向け賃貸専門業者からは、こんな設計の家は絶対に借り手がつかないと大反対されました。そのデザインは、京都のうなぎの寝床&長屋スタイルを借用、全4戸が同じ環境を獲得できるよう、全戸南向きに計画しました。各戸の間口は5.4メートルと設定、従って奥行きは40メートル、確かに一般的ではないプランです。ESAが大事にする光と通風をどう採りこむか、ここに日本の伝統的なサスティナブル建築の知恵があります。全戸に大小3つの中庭を配して、明かりを採りながら風通しまでを実現しました。このおかげで各戸一室を除く全室が南に大きく開き、住戸全体が明るい陽がさしこみます。 都内でも屈指の住環境といわれるこの周辺でも、3、4階建てのマンションが散見されるようになり、将来の環境変化にはきちんと手を打っておくべきと考え、リビングに面した大きなパティオ(中庭)は、屋根がない外部空間ではあっても居住者だけの独占的なミクロの自然世界をもたらしています。同じ間取りで並ぶ4軒のアイデンティティは、白、黒、チャコール、朱という住まいのベースカラーと、異なったパターン格子の玄関扉で表現しました。
伝統的な日本瓦、漆喰、障子をデザイン・ボキャブラリーとして採用、外国人居住者には、限定期間の住まいで「和」を堪能してもらえるよう図りました。鈴木エドワードの生涯を通しての興味、陰と陽、新と旧などの対立と調和でした。建築における、和と洋の対立は、この建物を通して大きなハーモニーを奏でました。
2019年8月、現在はパリ在住の、元山下池田山ハウスジング居住者と鈴木夫妻が初めて会う機会を得ました。「私たちファミリーのソウルハウスだった」「あまりにすばらしいファミリーの家の思い出を胸にとめておきたくて、パリの家には、池田山と同じ暖炉と照明をつかいました」と感謝されたことを鈴木はほんとうに喜んでいました。

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