人類主導の姿勢から自然をとらえるのではなく、自然を尊敬し、学ぶことからすべてを始める。
デザインの基に存在するのは「宇宙」「自然」。
「自然には無駄がない、だから美しい」と鈴木は語っていました。
「自然界には、あるものがA点からB点まで移動するとき、最短で2点が結ばれ遠回りすることはない。」
ESAのデザインは、この自然主義を貫いています。
今でこそ、竹を多用する建築やインテリアが後を絶ちませんが、一時、ESAの代名詞になったほど、鈴木は竹の魅力を語り、都心の狭い坪庭や前庭にも竹を採用、モダン建築と竹のコラボレーション先駆者となりました。竹という素材のサスティナビリティにもたびたび言及し、また素材の可能性にも着目していました。
科学は「自然の仕組みの追求」。
自然の仕組みは「神の建築」= GOoD DESIGN。
建築デザインにおいても「自然の仕組み」に則ったのは言うまでもありません。
鈴木が生前親しくさせていいただいたGKデザイン 栄久庵憲司さんが
「仕事すなわち哲学の発見は建築家鈴木エドワードの『自然探求心の賜物である』」という言葉を残してくださいました。
著者の鈴木エドワード氏は、ハーバード大学大学院卒業後、バックミンスター・フラー、イサム・ノグチ、丹下健三という 3人の師のもとで学びました。1977年、鈴木エドワード建築設計事務所(ESA)を設立し、建築デザインを生涯の仕事として35年。著者は「人の幸せとは何か、生きる意味は何か…人が暮らす空間設計を通し、繰り返し考える機会に恵まれました。そして物理学は実は人の生き方、在り方そのものにつながる学問であり、追求する真理への異なるアプローチである」ことに気づきました。
本職の建築設計の他に、物理学、化学、生物学を学んだ著者が名付けた「GOoD DESIGN」とは、エネルギー消費を最小限に抑えつつ最大限の効果を得るデザインを追求することであり、それはすなわち「自然(宇宙)の仕組み」そのものです。耐震性などの建築構造の基本から、エネルギーや原子の仕組みに至るまで、建築家・鈴木エドワード氏が提唱する「GOoD DESIGN」(ゴッド デザイン)、神のデザイン哲学についてまとめ上げた本です。