鈴木は米国で過ごした大学時代また大学院時代の休みのたびに、京都はじめ日本各地の伝統的な建物を見て回ったと話していました。イタリー・ローマでの一年間、ヨーロッパ各地で石の建築を学ぶと同時に、智慧にあふれた日本建築を吸収していきました。
ESAのサスティナビリティポリシーはこの時の感動と学びが原点となって生まれたようです。
「夏涼しく冬暖かく」、同時に、内と外とをゆるやかにつなげる。西洋の石建築とは全く異質なデザインアプローチであり、建物は風土や環境にそったものにすべきだとの主張です。
鈴木が提唱した「インターフェース」は、IT用語として知られていますが、そもそもは、「中間面」「何かと何かをつなぐもの」という意味です。この内と外がゆるやかにつながりながら、ゆるやかに隔て、そして「つないでくれるもの」を、鈴木がデザインボキャブラリーとして使いはじめました。これこそが、日本の伝統を、日本人の暮らしを現代建築につなぐ道であると確信したのです。